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アフガニスタン情勢と相場見通し。タリバン政権復活が投資家に及ぼす影響についての考察。

2021年8月16日

 

いつもご覧いただきありがとうございます、現役外銀エドナルです。

今回は、タリバン政権発足が相場に与える影響についての考察です。

 

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8/15、アフガニスタンの首都カブールがタリバン軍によって制圧されたとの報道を受け、今日の日経平均も大きく下落、ひとまず今晩のニューヨークの動きを拝見、といったところでしょう。
相場見通しも重要だが、そもそもタリバンって何だっけ?中東情勢って複雑でわからんのだが…、という投資家さんは意外と多いと思いのではないでしょうか?
ナル

今回はそれらの復習もかねて、分かりやすく解説・考察していきたいと思います。

 

 

1. タリバン政権復活と相場見通し (1970年代~2021年までをざっくり復習)

 

皆様、ご本業と投資とでお疲れかと存じます。大丈夫です、難しいことを申し上げるつもりはありません。

相場に与えるインパクトをきっちり理解するためにも、簡単にアフガニスタン情勢をフィードバックします。

学生時代の政治学の記憶をも呼び起こしながら簡単解説いたします。

 

 

(1) ソ連軍によるアフガニスタン侵攻

簡単に復習していきましょう。

ソ連は第二次世界大戦で世界一の死者を出しました。2700万人です。

これだけソ連人を死なせてしまったのでソ連は戦争がトラウマになりました。

なので自分たちが戦わずに言うことを聞く従属国を作り、そこの人々に戦争してもらおうと考えました。

1979年当時、その矛先がアフガニスタンでした。アフガンがあればソ連が攻められる際の要塞となる、地政学メリットもあったわけです。

 

アフガニスタンには当時、共産主義政党があり、ソ連と近い考え方でした。それが反政府勢力に潰されかけていました。共産主義政党はソ連に支援を要請、ソ連は大義名分を有して、アフガニスタン侵攻します。でも本当は政権を傀儡にして自分らと同じ社会主義国家を創るための侵攻でした。

 

 

(2) アメリカCIAはパキスタン諜報局と手を組んでムジャヒディンに兵器とカネを供給

ソ連侵攻に興味を持ったのは、当時冷戦中のアメリカ。

アメリカは、ソ連がやることなすことにイチャモンつけて、ソ連弱体化を狙っています。今回も反ソ連軍に対し支援します。それがムジャヒディン(戦士)。

CIAは、まずアフガニスタン隣国のパキスタン諜報局(ISI)と連携して、反ソ連軍であるムジャヒディンへ大量の兵器と資金を供給します。

 

 

(3) ソ連軍は撤退、「ソ連いないならつまらない」と興味を失ったアメリカ

ほどなくしてソ連軍は、ムジャヒディンらの反政府軍の後塵を拝します。完全撤退。

ソ連が弱体化して撤退するのを喜んだのはアメリカ。ソ連を退け満足したアメリカも撤退。

アフガニスタンは荒廃した土地が残り、難民が生じ、当然のごとく政権樹立を狙う勢力たちの紛争が起きます。

つまり、アフガニスタンはソ連とアメリカの代理戦争の戦場とされ振り回されたわけですね。

心から不憫に思います。

 

 

(4) しかしパキスタンは見逃さなかった。難民を洗脳しアフガニスタンを手中に収めるべく「タリバン」創設。

大量の難民が発生し隣国パキスタンになだれ込んできます。

これを利用したのがパキスタン軍統合情報局(ISI、中東最大の諜報機関)。学校を作って彼ら難民に無償で教育を受けさせましょう!と名乗りを上げます。

これが「タリバン」です。

タリバンとは「神学生」という意味。

タリバンへの教えは、「イスラム原理主義」。つまり、西側諸国の近代化を否定、イスラム法による国作りと統治、そして強烈な男尊女卑などなど。

原理主義は、解釈によっては、排他的で他に厳しく危険です。

こうして、難民から学生になったタリバンは、パキスタン軍統合情報局により過激に染まります。

 

 

(5) 時を経て「9.11」が起きる。

9.11が起きます。

ブッシュ大統領は報復のためイラクへ侵攻します。NATOで空爆し簡単にイラクを陥落。しかしアルカイダで首謀者ビンラディンがどこにもいない。

CIAが血眼になって探しても見つからない。これはおかしい。

 

 

(6) タリバンがアフガニスタンで匿ってる?ビンラディンを差し出して頂こう。

CIAは、ビンラディンがアフガニスタンのタリバンの庇護のもと暮らしていると知ります。引き渡しを求めますがアフガニスタン政府は応じません。

したがって空爆を開始。わずか2か月でタリバン政権が崩壊します。

それから数年後、ビンラディンの自宅を急襲し殺害。

 

 

(7) 戦後の日本にマッカーサーを置いてったように、暫定政権と軍を置いてったアメリカ。

タリバン政権を崩壊させた後は、暫定政権を樹立。民主化を図ります。

これによってアフガニスタンの女性は学校に行けるようになり、仕事ができるようになり、人権が与えられました。

旧政権下の女性は、10歳で兵士と無理やり結婚させられたり、勝手な外出は不可能、よその男と接吻したら鼻を切り落とされる、など特に女性への人権は無いに等しい状況でしたから、我々から見ると大きな社会構造の変化となりました。

 

 

(8) アフガニスタン在留に辟易した米軍。

米軍は辟易します。

タリバンの一部の過激派は、子供に爆弾を巻き付けて自爆させます。車に爆弾詰んで学校の前で…という自爆テロもありました。

流石にアメリカも辟易します。いつまでもいるの?撤退はいつ?もう9.11の報復も終えたし良いのでは?といった具合に。

 

 

(9) トランプは米軍完全撤退を約束。それに則りバイデンは撤退を表明。

そして、202年トランプがタリバン軍と和平交渉してアフガニスタンから軍隊を引くと約束します。そして2021年春、バイデンは2021年8月までの完全撤退を表明。

 

その4か月後の今日、タリバンが電光石火の勢いで首都制圧。本日のニュースとなりました。

 

 

 

2. タリバン政権復活と相場見通し、株式市場は織り込み済み?

 

8/15の主要紙

●ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)
「タリバンがカブール制圧、アフガン政府首脳は国外に」

●フィナンシャル・タイムズ(FT)
「タリバンがカブール包囲、アフガン大統領は出国」

●ワシントン・ポスト(WPO)
「アフガン政府崩壊の兆し」

●ニューヨーク・タイムズ(NYT)
「米軍、カブールで米国市民と外交官の退避支援」

 

アフガニスタンの反政府勢力タリバンが15日に首都カブールを包囲。アフガニスタのガニ大統領が出国し、政権委譲が進む可能性が高まることを欧米の主要メディアがトップで詳しく報じました。

 

しかし、この件は想定の範囲内です。

というのも、トランプ前大統領の和平交渉を機に、すでに米国や中国、ロシアなどが、昨年以降、交渉相手をタリバンとしていた経緯があります。ガニ政権転覆もある程度は予想できていたことでしょう。株式市場はざっくり織り込み済みだと考えています。

日本市場は世界から見れば新興市場。週初は、世界で最初に開くマーケットであり本日は売りからスタートしてましたね。

 

 

3. カオスと化すアフガニスタン。今後の相場見通しについてのまとめ。

今後予想されることを列挙すると、

  • 難民の大量発生
  • タリバン政権に対して米国、中国、ロシア、の政治的介入
  • 軍事介入
  • 巨額なオイルマネーのリスクオフ
  • 通貨下落とインフレ発生
  • 投資家によるドル買い(質への逃避)

などが考えられます。

個人的には、何らかのイベントが発生し、オイルマネーがリスクオフへ傾くと困りますね。需給バランスが崩れ一気に下げムードになるでしょう。

また、軍事介入はすぐに起きないと思いますが発生すればネガティブです、それは織り込んでもいないでしょうからね。

よく戦争は株式市場においてはポジティブだと言われますが、あれは長期的な見方です。短期~中期的には視界鮮明になるまでネガティブです。

 

なお、今回のイベントが現状のままであれば想定の範囲内、引き続き相場に対して強気で問題ありません。

押し目をつけるようであれば絶好の買い場です。もちろん米国株か米国のリスク資産をです。

 

 

世間はここ一年、単純一辺倒なコロナの話題で持ち切りでした。

こういったやや難解な中東情勢、政治的・経済的イベント、などがあると備忘録もかねて記事を書きたくなります。

私は複雑なことが好きなのかも知れません。

複雑なもので好き、中東界隈というと「ビリヤニ」を思い出しました。明日食べに行こうかな。

 

乱文失礼しました。

以上となります、最後までお読み頂きありがとうございました。

 

なお、当記事は情報提供であり勧誘等を目的とするものではありません。投資は自己責任でお願いします。

詳しくは免責事項をお読み下さい。引き続きどうぞよろしくお願いします。

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Written byエドナル

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