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今回は「自分の子ども達を、何歳から役員に就任させ、何歳から役員報酬を払っていいか?また、何歳から株主にできるのか?」についてです。


いつから子ども達を関与させる?
どこかで必ずぶつかるこの議論を今ここで整理しましょう。
1. 何歳から子どもを役員にしていいの?
結論としては、10歳以上または15歳以上となります。それぞれのケースを見ていきましょう。
まず、会社法には役員の年齢に関する規定がありません。
では0歳児や幼稚園児が役員に就任できるかというとそれは現実的には難しいでしょう。
一般的に、意思能力が認められるのは10歳以上とされます。よって、社会通念上、10歳未満のお子さんを役員にすることはできません。10歳以上であれば取締役の就任が認められるケースがありますが、10歳以上の未成年者が取締役として就任する際には親権者の同意が必要になります。
まずここで最低バーが10歳以上となります。
次に印鑑証明を入手できる年齢制限の壁があります。印鑑証明は15歳以上でないと入手できません。
取締役会非設置会社は印鑑証明が必要で、取締役会設置会社は印鑑証明が不要です。印鑑証明は15歳以上でないと入手できないため、取締役非設置会社は役員就任アウト、取締役会設置会社は役員就任セーフとなります。
■取締役会「非」設置会社(印鑑証明書必要)
取締役会「非」設置会社の取締役就任の際は、役員登記の手続において印鑑証明書の添付が必要なため15歳以上でなないと取締役になれません。
■取締役会設置会社(印鑑証明書不要)
取締役会設置会社の取締役就任の際は、役員登記の手続において印鑑証明書の添付が求められないため15歳未満の未成年者でも取締役になることが可能です。
取締役会設置会社となるには、3名以上の取締役がおり、かつ監査役(または会計参与)を併せて1名以上置く必要があります。また、未成年者が取締役に就任するには、登記申請時に「親権者の同意」が必要です。
以上より、わが子を平取締役など役員に就任させたい場合は、10歳以上か15歳以上かというのが正解です。
法律や登記手続き上、未成年者が取締役になれるかについて上記の通りですが、あくまで形式上の話であり実行される際には税理士・会計士にご相談ください。
2. 子どもが何歳になったら役員報酬をあげていい?
結論から申し上げると、適切な最低年齢は「18歳以上≒大学生から」というコンセンサスです。
年齢制限を定める法律はありませんが、小学生・中学生・高校生に役員報酬を支払う行為は不適切で否認されたケースが多々存在します。
わが子への役員報酬支払いが否認されると、支払った金額が親の所得税扱いにあるため高い税率で課税され、延滞税等が発生するケースが多く、信用を失う上に想定外の出費となります。
まず、給料については、
実家が会社を経営していて、その子供(大学生)が親の会社を手伝うケースなどはしばしば起こり得ます。
中・高校生は学業・部活で忙しいですが、大学生になると18歳を超え時間的余裕も生まれます。従業員として親の会社に雇われ給料をもらうというケースは往々にしてあります。他の従業員と比較して全く仕事していない、誰も見たことがない、などあからさまな不自然さや条件優遇が見られなければ問題ないでしょう。
一方で、役員報酬についてはやや複雑です。
役員は委任契約であり従業員とは話が違います。労働時間や仕事内容で給料が決まるわけではありません。役員=経営陣としての仕事を全うし会社への貢献度があれば学生でも役員報酬を出せます。相場としては20-30万円などで、月100万など支払うと税務署につつかれるリスクがあります。
また、(主語は子息が~)
- 会社のことを理解していない
- 経営に参画していない
- 海外留学などで日本におらず物理的に出社できない
- 役員になっていることや報酬などを知らされていない
- 親が子供の銀行口座を管理していた
- やっている仕事内容を知らない
- 不当に高い役員報酬
などは総合的に勘案され否認のリスクがあります。詳細は税理士や公認会計士に相談しましょう。
3. 子どもは何歳から株主にできるのか?
会社設立時に株主となるのに資格はありませんので、理論上は何歳からでも株主になれます。
ただし、上記と同様、定款認証時に印鑑証明の添付が必要なので原則15歳以上である必要があります。
なお、15歳未満の場合に親権者の印鑑証明で対応可能な場合もあるため、いざ設立する際には公証役場に相談して下さい。
また、上述のように形式上は若くして株主になれますが、税務調査でよく指摘されるのは、未成年者である子供が本当に自分で資金を出資したのか?という名義株の問題です。要は、親がお金を出し実質的な株主になっているのではないか?と見られるリスクがあります。
これらのリスクを避けるために、親が資産管理会社などの会社を設立し、株価が低いうちに子供たちに株式を暦年贈与し、法人の所有権を家族に移すというケースが一般的です。
4. まとめ,資産管理会社使ってわが子に資産を移転する件
以上が、子どもを役員にしたり株主にしたりする年齢的な問題についてのおさらいでした。
なお、富裕層は資産管理会社を設立し、どんなメリットを享受しているかと言うと、
(1) 節税効果
仮に、年収5,000万円(課税所得4,000万円)以上の個人に課される所得税の税率は45%で住民税と合算して55%ですが、法人税の実効税率は所得400万円以下が21.421%、400万円超~800万円以下が23.204%、800万円超が33.585%となります(東京都参照)。
つまり、同額の所得であっても、個人の給与所得として申告すれば半分以上を税金として徴収されますが、法人が得たものとすれば法人所得に応じてそれ以上の手取りを得ることができます。また、経費を使い放題という節税も可能。
(2) 所得の分散効果
妻や子どもたちに役員報酬や給与を支払い、家族へ所得を分散させます。累進課税の税率格差をついたスキームで総手取りは多くなり、贈与以外の方法で子ども世代への資産承継が可能となります。
(3) 相続発生後における節税効果
もっとも大きな効果は相続対策です。主として資産管理会社に不動産を所有させ相続税評価額を下げます。
不動産は現金・預貯金と比べて相続税評価額が低くなるため相続人の納税資金を少なくすることが可能です。また、(2)による家族の現金資産の蓄積も結果的には相続対策であり、家族が役員報酬などを蓄積することで納税資金を確保することが可能となります。

以上となります。最後までご覧頂きありがとうございました。
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