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今回は、生命保険の満期返戻金や解約返戻金によって損益が発生した時の「確定申告の注意点」や「損益通算」について解説いたします。

生命保険・終身保険は、満期保険金・解約返戻金ともに、儲かっている場合、つまり、支払保険料<受取保険料の場合には一時所得として扱われます。一方で損している場合、支払保険料≧受取保険料の際に、当然ながら税金はかかりません。
途中解約によって大儲けすることも。。その際は確定申告を忘れないよう注意して下さいね。

1. 保険の解約返戻金は一時所得。その税額・計算方法は⁇
保険を解約したり満期を迎えたりし、解約返戻金や満期返戻金として一時金でもらう場合は「一時所得」となります。
一時所得には「50万円の特別控除」があり、しかも控除後の金額の「半額」に課税されますので、税額は非常に低くなります。
一時所得=(収入金額-支出した金額-50万円)×1/2

そのため一般的に満期返戻金等に税金がかかるケースは珍しいでしょう。一時所得は、総合課税の中でも税負担が軽くなるよう配慮されています。
ケーススタディですが、
5年前に2000万円で契約した終身保険を解約して利益確定したとします。今売ったら2100万円の解約返戻金になると保険会社から言われたので解約(売却)します。
すると、
(2100万-2000万-50万)×1/2=25万円
よって25万円が一時所得として税額計算の対象となります。
なお、終身保険等の解約返戻金を一括でなく「年金」として受け取る場合は「雑所得」になるため上記と異なります、ご注意下さい。
保険 | 種類 | 摘要 |
生命保険 | 満期保険金・解約返戻金 | ①保険負担者本人が、一時金(一括)で受け取る場合は「一時所得」 ②年金形式で受け取る場合は「雑所得」(公的年金等以外) |
2. 生命保険の解約返戻金による利益や損失は、株式や投信と損益通算できる??
結論はNOです。
生命保険の中身はたいてい株・債券・リートなので、よくある分散型のファンドみたいなものです。なので、株式や投信の譲渡損益や配当所得と損益通算できればハッピーなわけですが、残念ながら、保険はあくまで一時所得として総合課税されるので対象外となります。
保険は一時所得なので一時所得同士でしか損益通算できない。株など有価証券とは損益通算不可!と覚えておきましょう。

3. そもそも一時所得とは?どれなら生命保険の解約返戻金と損益通算できるの?
一時所得に該当する項目は下表となります。
- 懸賞、クイズの賞金や商品【個人事業者が業務を通じて得た所得は、一時所得ではなく事業所得】
- 法人から贈与された金品
- 競馬の馬券、競輪の車券の払戻金【馬主が競走馬の保有により得た所得は、一時所得ではなく「事業所得」または「雑所得」。*2017年ハズレ馬券経費判例によりやや煩雑化】
- 生命保険の満期保険金【年金形式で受け取るものは雑所得】
- 長期損害保険の満期返戻金
- 遺失物を拾った人がお礼としてもらう謝礼金
- 借家人が立ち退きにあった時にもらう立退料
これらの一時所得とならば、生命保険の解約返戻金と損益通算可能です。

上記以外の所得、例えば給与所得や事業所得との損益通算もできないのが難点ですね。
4. 外貨建て生命保険は、為替差益によって思わぬ一時所得が生じる可能性も!?
昨今の低金利下においては、円建ての保険は金利が無いのでほとんど儲かりませんから、米ドルなど外貨建ての保険商品をお持ちの方が多いと思います。銀行や生命保険会社など、こぞってドル建てや豪ドル建てを勧めてくることでしょう。
外貨建ての場合も計算方法は上記と同じになりますが、為替差損益の影響が顕著です。
たとえ、解約時に円転しなくても(円に戻さずドルのままにしておいても)税金の計算は常に円ベースで行われます(みなし外国為替)。したがって、保険を解約した時に、契約した時よりも大きく円安に振れていれば甚大な為替差益が生じ、結果として確定申告が必要になるケースもあります。

以上となります。
最後までご覧いただきありがとうございます。引き続き、よろしくお願いします。